2023年2月14日

敏感肌の方が自分に合ったスキンケア製品を選ぶコツとは

敏感肌に悩む女性のイラスト

化粧品や紫外線、花粉など、少しの刺激で肌荒れが起こりやすい敏感肌。 「敏感肌」という言葉には決まった定義がなく、症状も人によってさまざまですが、中にはどんな化粧品を使っても肌荒れが起きてしまうほど過敏な方もいます。 そこで、敏感肌の方が自分に合ったスキンケア製品を選ぶコツについて、お話していきます。

敏感肌と刺激に強い肌は何が違うの?

敏感肌と刺激に強い肌、その違いに大きく関わっているのがバリア機能です。 バリア機能とは、肌の水分が必要以上に蒸発しないようにしたり、外部の刺激から肌を守ったりする働きのことで、おもに肌表面を覆う皮脂膜と、角質層の水分保持機能(細胞間脂質、天然保湿因子など)がその役割を果たしています。 バリア機能が低下していると、さまざまな刺激が皮膚の内部に入り込みやすくなり、肌荒れの原因になります。
バリア機能が低下する要因はとてもたくさんあります。たとえば、体質的な要因。アトピー性皮膚炎などの持病がある方の中には、バリア機能が低下しやすく健常な人に比べて肌水分量が1/3しかない状態の方が多くいます。 また、洗顔に必要以上に時間をかけている、洗浄力の強すぎる洗顔料を使う、保湿ケアや紫外線ケアが不十分など、間違ったスキンケアが原因になることもあります。 さらに、生活習慣の乱れやホルモンバランスの変化、加齢による皮膚の水分量や皮脂量の減少などもバリア機能に影響を与えます。
敏感肌の方の多くはこうした要因が複合的に重なってバリア機能が低下している可能性があります。

敏感肌の方が化粧品で症状が出てしまう原因は?

化粧品によって症状が現われたり、悪化したりする原因として大きく次の2つが考えられます。

スキンケアの方法が間違っている

化粧品を使った後に症状が出ると「成分が合わなかった」と思いがちですが、スキンケアの方法が原因になることもあります。 たとえば、丁寧なスキンケアを心がけるあまり、洗顔やクレンジングに時間をかけ必要以上に摩擦をかけているようなケースです。 知らず知らずのうちにバリア機能を低下させている可能性があります。 また、紫外線対策不足もバリア機能に悪影響を与えます。 日焼け止めが苦手な人もいますが、肌荒れの起きにくい紫外線吸収剤フリーの日焼け止めなどでの対策が必要です。

皮膚科での相談が必要なことも

自分では敏感肌と思っていても、実はアトピー性皮膚炎や酒さ(しゅさ※)といった皮膚疾患が原因のことがあり、その場合は治療が必要です。 何を使っても肌荒れが起きてしまう方は、まずは皮膚科を受診してみてください。 診察の際には敏感肌で悩んでいることを伝え、ケアの方法についても相談してみましょう。 また、生活習慣の乱れやスキンケアの方法など、バリア機能の低下を招きやすい要因があれば改善することも重要です。 ※中高年に見られる慢性の皮膚疾患。鼻や頬などに赤みや小さな吹き出物ができ、かゆみやほてりを伴うこともある

自分に合う化粧品の見つけ方

以上を踏まえた上で症状が改善しなければ、スキンケア製品を選び直してみましょう。 選ぶ際のポイントは、皮膚の状態をよく観察することです。 赤みやヒリヒリ感が出やすい、かさつきやすい、ニキビができやすいなど、敏感肌といってもその症状はさまざまです。 どのような症状が出やすいのか、ご自身の特徴を踏まえたうえで、スキンケア製品を選ぶようにしましょう。 たとえば、かさつきや乾燥感が強い場合、一つの可能性としてスキンケア製品の保湿力不足が考えられます。 「保湿成分配合」と書かれた化粧水などを使っている方は多いでしょうが、保湿成分にもいろいろな種類があります。 かさつきなどの症状が強いときには、水分の蒸発を防ぐワセリン、水分保持機能を高めてくれるヘパリン類似物質、セラミドやグリチルリチン酸ジカリウム、ヒアルロン酸など、保湿力の高い成分がしっかり配合されたもののうほうがおすすめです。

一方、化粧品でニキビができてしまうような場合、油分の多いアイテムの重ね塗りが原因のことがあります。 保湿のつもりがかえって毛穴を詰まらせている場合があるので、注意しましょう。 こうしたケースでは使用するアイテムを減らすのが一つの解決策になることがあります。

化粧品のアドバイスをする医師のイラスト

なお、スキンケア製品選びの前提として、パッケージや成分表示を確認することも重要です。 現在、化粧品には全成分表示義務があるため、配合されているすべての成分を確認できます。 購入前に肌に合わない成分の有無、配合されている保湿成分の種類、全体の成分数などをチェックしてみてください。 ちなみに、肌が敏感な時はできるだけ低刺激でシンプルなものがおすすめです。
また、パッチテスト(刺激性を評価)やアレルギーテスト(アレルギーの起こりやすさを評価)、スティッキングテスト(敏感肌の人を対象にヒリヒリ感やかゆみの有無などを評価)などをクリアしているかどうかも一つの目安になります。 ただし、これらのテストをクリアした製品でも肌荒れが起こる可能性はあるため、使用前にはご自身でもパッチテストをしたほうが安全です。

化粧品選びのコツとは、皮膚の状態をよく観察することです。 肌荒れの症状が強いときには専門医のアドバイスも上手に取り入れて、トラブルに負けない健やかな肌を目指しましょう。

監修

今泉 明子先生

医学博士/日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
今泉スキンクリニック院長

(HP:https://imaizumisc.or.jp/)

経歴

聖マリアンナ医科大学卒業。 日本赤十字医療センター皮膚科勤務、ニューヨークワイル・コーネル医科大学皮膚科学教室勤務、東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage院長などを経て、2018年に六本木今泉スキンクリニック開院

所属学会

日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、国際美容外科学会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚アレルギー学会